京都靴景 【雨と涙】

◆【雨と涙】

season:「水無月」

陽気のよい季節も五月末あたりから梅雨に入ります。
最近は梅雨入りが遅れることも多くなってきましたが、
この時期はやはり雨に気を使ってしまうものです。
そんな梅雨の季節に、「雨と涙」という靴を創りました。
雨でも気にせず履きたいですので、素材は水に強いオイルドレザーを使用しました。
底はもちろんゴム底。
滑りにくいビブラム社のゴム底を使っています。
底付けの方法は「ストームウエルト」という山形形状の革帯を縫い付け、
雨が縫い目から侵入して来にくいようにしています。
淵に山形をまとったコバ周りが、オイルドレザーを使った上物と重なり合い、
かわいらしいカジュアル感を演出しています。
梅雨ってじとじとして苦手な季節のひとつかもしれません。
でも梅雨明けの、雨上がりの空って気持ちがいいくらいきれいで、爽快じゃないですか?
子供の頃、思いっきり泣いて涙が枯れたあとの気持ちって清々しかったような、
そんな感覚なのかなぁと思います。
夏を迎える前に、思いっきり降ってくれたらいい。
そして気持ちのいい夏を心待ちに、雨を満喫しよう。
梅雨は紫陽花の季節でもあります。
三千院ではとてもきれいに紫陽花が咲いているので大原に行くのもいいですね。
そんな風に梅雨をとらえて、雨の季節を楽しめる靴を創ろうと思いました。