京都靴景 【羽織】

◆【羽織】

season:「文月」「葉月」

梅雨明けが告げられる頃、京都は夏の代名詞、
祇園祭で賑わいをみせています。
蒸し暑い京都の夏の始まりですが、
祇園祭のお囃子が聴こえてくるとなにやら涼を感じるものです。
そんな祇園祭のある京都の夏に合わせて、
「羽織」という靴を創りました。
スタイルはスリッポンです。
スリッポンは紐靴に比べて足を包み込む面積が少ないので、
フィット感を出しにくいものですが、
できる限り足に吸い付いてくるようデザインと作りを考慮しました。
鉾に上るときは靴を脱がないといけなかったり、
昔からの家屋が残る京都の夏には脱ぎ履きのしやすさって大切ですよね。
デザインは夏羽織をはおったような、凛とした佇まい、そんなモチーフで描きました。
底は革底の角コバ。
夕立も気になる季節ですが、
お祭りですから、ここは粋に革底でいきましょう。
7月に入り祇園祭がやってくると、自然と「羽織」を履き始める季節となります。
8月には「お精霊さんのお迎え」に行き、「五山の送り火」を眺めます。
夏が過ぎるとその年の役目を終える、
そんな京都の夏の足元を支える靴となればと思います。