京都靴景〜Kyoto Shoe Scape〜

◆『京都靴景』〜Kyoto Shoe Scape〜

「京都の一年を過ごす、季節ごとの靴がある」

※この展示会は2015年8月14日から16日にかけて、京都衹園にある鍵善良房さんのギャラリー「空 鍵屋」にて催しました。

2010年に立ち上げたShoe Scapeも今年2015年で五周年を迎えました。そんな五周年という節目に個展を開催することにしました。 タイトルにもある通り、『京都靴景』がテーマとなっています。では「京都靴景」とはどういう意味なのか? 簡単に言うと京都の靴の景色です。京都には様々な景色があります。一年を通じて沢山の行事があって、四季の移ろいと共に京都の景色を彩ります。 京都の一年の「こよみ」を靴で表現するということが今回の個展のテーマです。 私は京都に住んでおり、京都で靴を作っています。年始から年末まで本当にいろんな行事があります。 四季もすごく豊かで、普段に生活しているだけでもその変化をよく感じることができます。 春の桜は素晴らしく美しいし、燃えるような紅葉に包まれる秋はやっぱりいいものですよ。 祇園祭や五山の送り火はいつも京都の夏を実感させてくれます。 氏神様のお祭りには鯖寿司を、祇園祭には鱧料理、正月には花びら餅を食べたり、行事ごとにあわせて食べるものもたくさんあります。 次から次へと行事ごとがやってきて、一年を過ごすのにとても刺激のある地域です。 そんな京都の一年を通して、行事ごとや季節に応じて履く靴がそれぞれあってもいいのではないかと思い、 「京都靴景観」〜Kyoto Shoe Scape〜を制作するに至りました。 ここで私なりの、八足の靴を創り、その八つの靴景観(靴の景色)を提案します。 それぞれの季節や催しに合わせて提案された靴は、デザインはもちろん、素材、製法も考慮しています。 京都の「こよみ」と「靴」がリンクした、「京都靴八景」をお楽しみいただければと思います。 そんな靴の展示と共に、京都で過ごす中での一年の催しや季節の楽しみを、私なりにですが一部パネルにより展示します。 「京こよみ」のパネルを読みながら、京都の一年の流れを感じてもらうことで、より『京都靴八景』をイメージしてもらえればと思います。 また、会場である「鍵善良房さん」のご協力で、京都に住まう中での、和菓子こよみの写真も展示します。 そして、狂言師・俳優の茂山逸平氏、狂言師の島田洋海氏、衹園茶屋の坂田憲治氏にご協力いただきまして、 京都に住まう人ならではの京都の楽しみ方をご紹介いただきます。 会場には京都の自然の音、祭や催事の音を足音と共に流し、サウンドスケープという概念からも京都の四季を感じていただきます。 その時期の行事ごとを確認しながら、 季節ごとに合わせて創られた靴とあなたの描く京都の一年を共に歩いて、 お楽しみいただければうれしく思います。

『京都靴八景』

【春の花びら】 season「卯月」

【雨と涙】 season「水無月」

【月と星】 season「長月・神無月」

【HANAO】 season「睦月」

【若葉】 season「皐月」

【羽織】 season「文月・葉月」

【Autumn Leaves】 season「霜月・師走」

【smile】 season「如月・弥生」

【ご協力者パネル紹介】

このたび、『京都靴景』を催すにあたって、 より京都の魅力を楽しんでもらいたいと思い、私の知人にご協力いただきました。

まずひとり目は「鍵善良房」さん。 鍵善さんは江戸時代から続く、和菓子屋の老舗です。 会場である「空 鍵屋」は鍵善さんのギャラリーです。 そんな歴史深い鍵善さんに、京都の一年を通して食べるお菓子を紹介していただきました。 京都には季節ごと、行事ごとに食べるお菓子が沢山あります。 そんな季節ごとのお菓子を楽しみに育ったのは、 おそらく私だけではないと思います。 ここで全てを紹介することは難しいですので、 季節、行事ごとに合わせて食べるお菓子を月ごとに、ひとつずつ選んでいただきました。 鍵善さんの和菓子の写真は見ているだけでおいしそうだねと、 皆さん口を揃えておっしゃってました。 観に来ていただいた方も帰りにお茶しに、 またお土産に鍵善さんに寄ってくれたようです。 京都のこよみや季節に合わせて、 いつも私たちの隣に、共にある和菓子文化は 京都ならではの素敵な文化だと思っています。

ふたり目は衹園お茶屋のおとうさん、坂田憲治氏。 坂田氏は衹園町で生まれ育った生粋の衹園人。 いつも衹園町の奥深さ、楽しみを教えていただいております。 坂田氏には「衹園の四季」についてお話しいただきました。 衹園に住み、衹園で育った坂田氏にとってはごく当たり前の衹園文化。 しかし、私たちにとってはとても興味深い内容だと思います。 京都に住んでいてもなかなか触れる機会のない衹園町の文化を 知ることができ、うれしかったという声をいただきました。 文章を読んでいると、 衹園の四季と、その風景が浮かび上がってきますね。

三人目は狂言師・俳優である茂山逸平氏。 茂山家は江戸時代より続く狂言大蔵流の名門です。 茂山逸平氏には「京都に住まうということ」についてお話しいただきました。 茂山逸平氏は京都の行事や地域と関わりの深い 狂言師というお仕事で活躍されていますので、 京都の魅力をお話しいただくのにまさにうってつけの方です。 なによりすごく面白く、人として魅力のある方ですので、 茂山逸平氏が語る京都についての話を、 私自身も聞きたかったのが本音です。 文章を読んでいるだけで、 茂山逸平氏が目の前で語ってくれているような 温度を持った文章を皆さん楽しんでおられました。

四人目は狂言師である島田洋海氏。 島田氏には「四季の狂言」について解説いただきました。 狂言ができたのは室町から桃山にかけての京都だそうで、 京都のお寺や神社が舞台になることが多いそうです。 お話の中で京都のよく知る地名が沢山出てきますので、 京都に住んでいる人にとって狂言は、 とても馴染みの深く、 より身近に楽しめるものではないかと思っています。 そんな狂言の演目の中から、 京都の四季を感じる狂言を選んで解説していただきました。 小さい頃に観た学校狂言の記憶を思い返したり、 行事ごとに関わる狂言のお話にうなずいたり、 皆さん興味深く解説を読んでいただきました。